上田ささや 社長の日記

長野県上田市の結婚式場ささやが発行している月刊『ささやタイムズ』。社長が書く名物コラムをブログで公開いたします。 また、日ごろ考えていることを不定期に掲載いたします。

女性の役割

 日増しに春らしくなってまいりました。皆様いかがお過ごしでございましょうか。日ごろは大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
 さて、先日、ロータリークラブのセミナーで、国際日本文化研究センター教授の川勝平太先生のご講演を拝聴しました。川勝先生は海洋史観に基づいた独自の文明論を展開されている高名な歴史学者で、教育再生会議のメンバーでもあります。
 ご講演の内容は多岐にわたっていて、面白い話ばかりですが、その中でも女性の役割に関するお話は興味深いものでした。そもそも人間は女性のほうが立場が強かったそうです。夫婦制度ができる前のことですが、自分の遺伝子を確実に後世に残すことができたのは女性でした。母親は生まれてきた子供がどの男性の子供なのかを把握していますが、男性側からは生まれてくる子供が、自分の子供かどうか、はっきりとはわからないのです。この意味では、人間はすべて女系といえるのです。やがて人間が進化をして、蓄財ができるようになりました。すると男性が女性を家に囲うようになり、男性は自分の遺伝子を確実に残すことができるようになったのです。このころから、男性の立場が強まったといいます。
 このご講演の直前に、私は偶然にも似たようなことが書いてある本を読んでいました。葉室頼昭さんという春日大社の宮司が書いた『神道夫婦のきずな』(春秋社)です。この方は医師でもありますので、生物学的な話が随所にでてきます。もともと生物というものは無性生殖で(つまり女性だけで)遺伝子を子供に伝えてきたそうです。しかし、進化の過程でいろいろな環境の変化に堪える事ができるように有性生殖に変わってきたそうです。人間の細胞の核の染色体は妻と夫でバランスをとって遺伝子として伝わっていきますが、核の周りの細胞質にあるミトコンドリアはほとんど女性のものが子供に伝わっていくそうです。いのちを伝える基本は女性にあるのです。だから、特に女性は、正しいミトコンドリアをつくることができるような生活をしなくてはいけないというのです。
 そして、川勝先生が話の中で例として挙げ、この本にもまったく同じことが書いてあったのが、古事記の有名なエピソードです。はじめに女神の伊邪那美命(イザナミノミコト)からプロポーズをすると、蛭子が生まれる。そこで高天原へ行ってどうしてかと聞くと、女性からプロポーズするからだという。そこで男神の伊邪那岐命(イザナギノミコト)からプロポーズをすると、すばらしい神たちが生まれたという話です。
 文明論的にも生物学的にも、基本は女性であるというのですが、プロポーズは男性からするほうがいいという面白いおちがついていました。
 私は特別、神道の信者でもありませんし、また、女性も男性も平等であると思っておりますが、充分に納得できる話でした。
 もう一つ、これらの話から得た気づきは、大局的に考えを深めていくことの大切さです。いま何が流行っているからとか、誰がどうしているからとか、どこの国はこうだからとか、そういった話はすべて後から都合のいいようにあてはめた理屈のように思えてきます。どういう立場からであっても、物事を長い目で大局的にとらえないと真理が見えてきません。長老を尊敬するというのは、若者よりも長い目で物事をとらえることが出来るからではないでしょうか。夫婦関係に限らず、昨今のいろいろな議論を見ていると、短期的、表面的で、今がどうかということばかりが中心になっていて、やや不安な気持ちになります。

      平成十九年二月二十八日  米津仁志
(追伸 前々号で紹介した浅見帆帆子さんも書かれていましたが、何か一つのことに興味を持ち始めると、それに関連したことが、先方から自然に飛び込んで来ます。不思議ですね。)