上田ささや 社長の日記

長野県上田市の結婚式場ささやが発行している月刊『ささやタイムズ』。社長が書く名物コラムをブログで公開いたします。 また、日ごろ考えていることを不定期に掲載いたします。

もっとおいしく!

 暑中お見舞い申し上げます。日ごろは格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、味に慣れるということは恐ろしいもので、自分で気がつかないうちに、自分の味覚が標準だと考えてしまうものです。
 先般御紹介しました、私のお気に入りの人参ジュースですが、考えてみれば、これにも味の変遷がありました。学生時代は一人暮らしでしたので、コンビニエンスストアなどで、缶に入った野菜ジュースを購入して、野菜代わりだと思って飲んでおりました。そのときはこれが野菜ジュースだ!体にいいぞ、味はこういうもんだ、と思って飲んでいたのでした。そのうち、弟が食品会社に勤めるようになり、北海道の限定された畑で栽培して、特別な製法で作った冷凍の人参ジュースを定期的に送ってくれるようになりました。これを飲んだとき、人参にこくがあって、季節ごとに味が変化し増したので、これこそ本物の人参ジュースだ!なんておいしいんだ、と感動したものです。
 ところが、その後、生の人参を買って、自分でジュースを作るようになると、いままで飲んでいたのは、ジュースといっても、工場で作ったジュースだったのということに気がつきました。当たり前のことですが、一〇〇%ジュースといえども、新鮮なジュースではなく、作りおきをしたジュースなのです。毎朝ジューサーでジュースを作って、出来たてをすぐ飲む習慣がついてしまうと、もはや、ペットボトルや缶入りのジュースは飲まなくなってしまいました。味の違いはもちろんですが、空腹時に飲んだときに、胃の感覚(胃ざわり?)が全く違うように感じたのです。そして、次には、産地や生産者を指定した特別栽培の人参だったらもっとおいしいことに気がついたのです。
 しかしながら、この変遷からわかるように、今の私のこの満足感も、恐らくは過渡的なもので、もっと体によくて、おいしい飲み方があるかもしれないのです。つまり、今の私の食生活の基準でおいしいといっているだけなのです。
 これと同じように、お食事やお料理も、それぞれの家庭の普段の食べ方が基準を決めています。つまり、相対的なものであるということです。いまの若者は自分にあっていておいしいと感じたとき「普通においしい」と言いますが、彼らがそう言ったとき、彼らの基準はどこにあるのでしょうか。いつも外食や中食の料理を食べていると、それがその人にとっての「普通」になることでしょう。有名な某ハンバーガーを自分にとっての懐かしい味だと言い切る若者さえいるそうです。また、コンビニやスーパーの弁当惣菜類は製造方法がかなり研究されて、ますますおいしくなっております。消費者が何を食べたいかをよく考えて、マーケティングから作られた料理ばかりです。
 しかし、素材を活かして伝統的な方法で丁寧に調理をしたお料理を食べる機会は、いま彼らにあるでしょうか。若いときにこそ、お袋の味、と後から思い出すことことのできるような、素材と製法に根拠のある料理を食べて頂き、確固たる味の基準をもってほしいのです。

代表取締役社長 米津 仁志